制作経緯
「創作活動にフォント選択の楽しみを」をコンセプトに作成している源暎フォントは今まで肉声セリフ向けに「源暎アンチック」、放送セリフ向けに「源暎ラテゴ」、強調セリフ向け「源暎ゴシック KL」を公開してきました。今回は新たに特太モダンゴシック体が仲間入りしました。
この漫画は「小説同人誌向け明朝体フリーフォントまとめ」で源暎こぶり明朝を紹介していただいているサイト「ALBA LUNA」のアカツキユウさまに描いていただきました! ありがとうございます。
源暎Nuゴシック(げんえいニューごしっく)は、 源暎ゴシック KLと同様に強調セリフ向けのフォント です。
2年半前は源ノ角ゴシックの仮名を少し改変し、拡大やウェイト調整が精一杯だった作者も源暎こぶり明朝や源暎アンチックの改刻を経て Fontforge の操作やフォント製作に慣れてきたため、オリジナルでモダンなゴシック体仮名を新規に製作しました。
どう違うの?
オリジナルの源ノ角ゴシックは 本文向けとして特太ウェイトでも仮名が小振り に作られています。これは長文で使用するには良い特徴・仕様ですが、漫画セリフやテロップ等の短文に使うにはインパクトが弱い・大人しく見えるという欠点にもなります。
そこで源暎ゴシック KLは仮名を大振りにすることで漫画の強調セリフとして使えるように改変したフォントでした。
しかし商業漫画を見てみると判るのですが、強調セリフには 大振りなだけではなくフトコロが広い・直線的なモダンゴシック体 が用いられてきました。それら写植時代に用いられていた書体から多大にインスパイアされてできた仮名が源暎Nuゴシックです。
別に強調セリフはモダンゴシック体でないといけない理由はありません。作風やキャラ、感情などで使い分けて楽しんでください。
漫画向けフォントの特徴
漫画でよく使われる「!!」「!?」などの組み合わせが簡単に使えるように 私用領域(外字)に組文字とその斜体 を用意してあります。
その斜体文字も単純な斜体ではなく、漫画向けにサイズ調整を加えた回転文字となっております。
あと強調セリフに表れることの多い「濁音付き母音」も合成文字だと縦書き時に有効にならないことも多いので、漫画で使いやすいように私用領域にも割り当てています。
他にも漫画でよくある「〰」(WAVY DASH)を漫画で一般的な形かつ自然に使えるように センターラインから波線が始まるカタチ を引き継ぐとともに、源暎アンチック v4で用意した開始・連続・終了の3パターンを組み合わせて自然な形になるバージョンも採用しています。
間延びした波線表現を行えるように一般的に使われる「~」(WAVE DASH)も並べると繋がるカタチも源暎ゴシック KLより引き継いでいます。
注意事項
- 源ノ角ゴシック JP Heavy の改変フォントですが、TrueType フォント化の際に異体字の大部分が削除されています。ご納得の上でご利用ください。あとグリフをツールで若干太らせているため、文字が潰れやすくなっているかと思われます。基本的には見出しサイズでご利用ください。
- 従属欧文はかなり大振りに作ってあります。基本的に行間は3割あれば大丈夫だと思いますが注意を払ってください。
- 従属欧文は 1byte 英数字と横組み用全角英数字、縦組み用全角英数字でデザイン等が異なります。同じコマなどで混用しない方が無難です。
- ウェイトは細い方へ数段階、太い方にも1段階ほど用意したいとは思っていますが、モチベーション次第なのでご了承ください。
書体情報
- 名称:源暎Nuゴシック(げんえいニューごしっく)
- ファイル名:GenEiNuGothic-EB.ttf
- ライセンス:SIL Open Font License 1.1
- 公開年月日:2018年 8月 19日(Ver 1.000)
- 対応グリフ:漢字 約1.2万文字を含む日本語向けグリフ約1.4万文字
- 制作ツール:FontForge 20161005 / fonttools / ttfautohint
- お借りしたオープンソースフォント:源ノ角ゴシック JP Heavy、Hind、M+ 1p Heavy、Noto Fonts、Font Awesome