製作経緯
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YouTube やニコニコ動画などの動画投稿サイトの人気により、自分のような映像の素人でも動画を作成する機会が増えてきました。
しかし無償の動画制作ソフトとフリーフォントを使って見栄え良い動画を作ろうとすると手間が掛かります。
そんなコトを考えていたところ Adobe から商業フォント同様に高品質なオープンソースフォント「源ノ角ゴシック」が公開されたので、高度な組版機能を持たないテキスト機能でもある程度は見栄えが良く見えるフォントに改変してみました。
(適当な動画テロップのサンプルですので例文は気にしないでください)
源ノ角ゴシックは品質も高くさまざまな用途に対して十分以上に使えるのですが、テロップ用途として見てみると文字は詰めた方が読みやすいですし、日本語部に対して欧文と数字の小ささが気になります。その気になる部分を調整して使用しようとしても AviUtl などのフリーソフトでは個別に文字詰めるのは不可能に近く、欧文と数字を部分的に拡大することも難しいのが現状です。そのため業務用編集ソフトなどを使用していない場合はそのまま使用するか、別のフォントを使うことを検討する必要がありました。
そこで「源暎ゴシックP」では初めから Photoshop などで言うところのプロポーショナルメトリクスを適用した文字幅に変更し、欧文と数字は日本語部にあわせて拡大させているので少ない手間で見栄えの良いテロップを作ることが出来るようになります。テロップ用途に限らず、たとえば PowerPoint を使ったプレゼンなどでも文字詰め&欧文拡大は効果的に使えると思います。
文字詰めしない使い方ができるように日本語部は等幅のままでグリフ改変や欧文・数字の拡大のみ適用した「源暎ゴシックN」と、テキストエディタなどでも使いやすい英数字も含めて等幅な「源暎ゴシックM」も公開しております。
なお横組み向けフォントです 縦組みでも詰めたい場合などには MM さんの源真ゴシックPがオススメです。Ver 1.000.140830 からの変更点
- 源ノ角ゴシック Ver1.004 をベースに一から新規作成
オリジナルの源ノ角ゴシックが Ver 1.000 から Ver 1.004 に更新する間に漢字の修正や半濁点仮名の追加、少なくない仮名グリフの変更が行われたため、従来の源暎ゴシックを Ver1.004 相当に更新するよりも新しく改変しなおしたほうが良いと判断しました。
改めて改変するにあたり、フォント形式や Fontforge への理解が深まったこともあり、改変するグリフ数が増えるなどより広い範囲に対して自分好みの改変をすることが可能でした。
- 源暎ゴシック 各フォント名の変更
フォント名が「源暎ゴシック」→「源暎ゴシックN」・「源暎ゴシック pro」→「源暎ゴシックP」・「源暎ゴシック mono」→「源暎ゴシックM」にそれぞれ変更されています。
変更した理由はいくつかありますが、一番の理由は上記のように以前の源暎ゴシックと互換性が低いために「古い源暎ゴシックと新しい源暎ゴシックが共存できる」 ようにするためです。上書きしないので、従来の源暎ゴシックを使用した製作物を開いた際に勝手に新しい源暎ゴシックに置き換えられてしまい見栄えが変わってしまうことがありません。
- 等幅版をTTF形式である源真ゴシック ベースに
OpenType(CFF)形式で作成できる等幅フォントは狭義の等幅フォント(全てのグリフが同じ文字幅)だけで、日本語フォントで一般的な広義の等幅フォント(半角幅と全角幅の2つの文字幅)は作れない仕様だと思われるため、源暎ゴシック mono では半角幅と全角幅を持ったプロポーショナルフォントでした。
その場合、等幅フォントしか選択できないテキストエディタなどで源暎ゴシックを使用できなかったため、今回のバージョンから MM さんが TrueType 形式に変換された「源真ゴシック等幅」をベースに一部グリフに変更を加えたものになります。
各タイプ共通の変更点
- ウェイトの名前を変更
源ノ角ゴシックで使われている Normal / Regular / Medium という区別付きにくいウェイト名をそれぞれ SemiLight / Regular / SemiBold に変更しています。
等幅版の源暎ゴシックM と Web フォント版の GenEiGothic-Web では Regular に対して太字を指定した場合に Bold に切り替わるように設定していますので、テキストエディタや Web の表示フォントなどにも指定しやすくなっています。
源暎ゴシックN と源暎ゴシック P では Regular に対して太字を指定した場合は Bold が選ばれず、源ノ角ゴシック同様に機械的に処理される場合があります。
- 一部の文字デザインを変更
「き」「こ」「さ」「と」「ま」「人」「1」「?」などのデザインを自分の好みにあうように改変しています。
オリジナルデザイナーである西塚涼子さんの個性とも言える「き」「さ」「と」や個人的に撥ねてないとイヤな「こ」などをより一般的と思われる形に寄せました。
「人」は小塚ゴシックや源ノ角ゴシックだと(特に細いウェイトで)記号的すぎて漢字に見えないので、中国語向けに用意されているグリフで上書きしています。
半角欧文記号の一部を日本語向けの高さに調整してあります。
- 濁点・半濁点つき仮名の位置調整
左図は縦組み時。中央「ぎ」が源ノ角ゴシックで下「ぎ」が源暎ゴシック。
源ノ角では「ぎ」に限らず仮名に濁点・半濁点が付くとバランスを取るために仮名が左下にズレますが、これだと中心線やベースラインからズレているように見えるため、源暎ゴシックN / Pでは横組み時は下の位置、縦組み時は左の位置を揃えてあります。
源暎ゴシックMは濁点・半濁点が付いた仮名は縦組み・横組みで共通グリフなので左下の位置を揃えてあります。
- 欧文(1Byte)スペースの幅を調整
源ノ角ゴシックの欧文スペースはアルファベットに合わせた幅になっていますが日本語フォントとして使うなら全角幅を基準にしたほうが便利です。
左図の上から「源暎ゴシックP: 1/4幅」「源暎ゴシックN: 1/3幅」「源暎ゴシックM: 1/2(半角)幅」「全角共通:1/1幅」と各用途に合わせて設定しています。
源暎ゴN / P で共通の変更点
- 従属欧文を拡大
源ノ角ゴシックの仮名は本文向けの細いウェイトでは小さめ、見出し向けの太いウェイトになるほど大きくなるのですが、従属欧文はウェイトが太くなるだけで文字の高さは変わらないために仮名と比べて小さく見えるため、ウェイトに合わせて 4%~10% 拡大しています。加えて日本語部分とバランスを取るためにアセンダやディセンダを低くしてあります。
拡大したぶん欧文が太くなってしまうのと、テロップやプレゼンなどの大きめサイズで使うには欧文が太く感じるので調整し、源ノ角ゴシックよりも細くしてます。
ベースラインを無視するように拡大しているので別のウェイトや他フォントとの混植時にはベースライン位置の手動調整が必要になる場合があります。
- 特定アプリでのバウンディング・ボックスサイズの調整
Adobe Photoshop や Illustrator 等のごく一部のソフトで文字選択用のバウンディングボックスが下方向にすごく長くなる現象(あくまでもソフト側の拙い仕様・不具合)があります。
これはフォントに設定されている FontBBox という値を想定されていない使い方をしているから(参考)なのですが、無視するには Photoshop や Illustrator の使用率が個人的に高いため FontBBox を正しくない値で上書きすることで対処しています。
原因になっている数文字以外では影響がないと思われます。その数文字で文字が一部しか描画されないなど不具合がある場合はその部分だけでも源ノ角ゴシックを使用してください。
源暎ゴPの変更点
- ひらがな・カタカナ・一部記号のプロポーショナル化
横組みで使用する場合に源ノ角ゴシックにプロポーショナルメトリクスを適用した場合と同じ文字幅 になるように設定指定しています。適用される文字種は全角仮名・英数字と一部記号になります。
※縦方向の文字詰めは FontForge の仕様なのか正しく読み書き出来ないため対応出来ておりません。源ノ角ゴシックを制作したフォントデザイナーが設定した文字幅なので様々な用途でバランスよく詰められた結果を得ることができます。
源暎ゴMの変更点
- 欧文と数字・一部の記号を半角文字幅に、他の文字を全角文字幅に
テキストエディタでソースコードや HTML 等を編集する際に便利なように源ノ角ゴシックに入っている半角文字幅グリフを英数字に使用した源真ゴシック等幅をさらに改変したバージョン。
半角数字「0」をスラッシュ・ゼロに変更し、一部の記号を日本語向けに調整されています。モニタ上でのテキスト表示には特に問題ない英数字の文字サイズや太さの調整はされてません。
「き」「こ」「さ」「と」「ま」などの仮名は他の源暎ゴシックと同様に改変してます。