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フォント一例

この節では同人誌や商業誌でよく使われるものを並べてみます。
※セリフにフォントを使わずに手書き文字を使うのも1つの表現方法です。

通常の会話(アンチゴチ)

 以前は同人誌でおそらく一般的だった漫画フォント。

 漢字部分に 300~600dpi でも崩れにくいタイプバンクのサンセリフゴシック、仮名部分に週刊少年マガジンでも使われているエイワンの「ZENアンチック」の組み合わせ。

 商業誌でもっとも使われるモリサワ製アンチゴチ。
 週間少年ジャンプなどで利用されているので見慣れている人も多いハズ。

 漢字部分に懐が狭く、突き出し・角立てされたクラシカルなゴシック体、仮名部分に写研に似たアンチック体の組み合わせ。ウン万円×2 なだけあってバランスなど品質はかなり高い。

 「み」や「ら」を隣のコミスタフォントと見比べてみるとかなり違うのが判る。

 源暎書体として公開しているフリーフォント

 Adobeから公開されているフリーフォント「源ノ角ゴシック」をアンチゴチ書体へと改変したフォントで「シンプルで、気に留まるコトなく、言葉が届く書体」を目指して作成しています。

 他にもフリーフォントは登場しており、源暎アンチックのベースになった「F910新コミック体」や「GL-アンチック」、「摂津築地」などアンチックも作風やキャラに合わせて選べる時代になりました。

 クリスタに同梱されたことで、今後の同人誌で一般的になると思われる漫画フォント。

 多くのアンチック体が築地五号活字をベースにした写研 アンチック体の影響をうける中、ニュートラルでシャープな独自の仮名が特徴。

 
強調セリフ(モダンゴシック体)

 MS Officeについてくるので所有者が多いからか同人では一般的?

 プロ用書体であるモリサワの「ゴシックMB101」の劣化コピーフォントであり品質が低いのが難点。「に」とか大きく「な」とか小さいが大抵の人は気にしていないと思う。

 MSやHGで始まるフォントは商用利用には別料金が必要になるので同人使用はグレーだったりする。

 パソコンで文字入れしている商業漫画で十中八九使われているモリサワ製モダンゴシック。

 写植時代には写研製モダンゴシック「ゴナ」が必ず使われていたが、その置き換え先として集英社だろうが小学館だろうが講談社だろうがほとんどの漫画で使用されている。

 上の創英角ゴシック体の“ラレ元”であるこの書体は広告のキャッチコピーなどに多用される見出し用極太ゴシック体。

 写研のゴナ、森澤のMB101と言われるぐらいの人気見出し用ゴシック書体だが漫画で強調セリフ用フォントとしての採用例はかなり少ない。
 個人的に新ゴは記号的「人」の声よりも「ロボ」の声みたいな印象を受けるので、モダンゴシックに拘らないでコッチを使うほうが良いと思う。

 Mac OS X に標準搭載されている極太ゴシック体。

 商業漫画ではまず見かけないがマックユーザーの同人誌で使われることがある。
 新ゴよりも上品で、少しだけ手書きの雰囲気が残っているので大好きな書体だが、漫画のセリフに使うにはすこし太いので付属の W8 ではなく市販されている W7 の方が良いかもしれない。

 Adobe から配布されている源ノ角ゴシックを漫画のセリフで使いやすいように改変した書体。

 ぶっちゃけるとヒラギノ角ゴやゴシックMB101 の代わりに使えるフリーフォントとして作成しました。

放送音声(タイポス)

 館内アナウンスや電話ごしの声などスピーカーから再生されるセリフは通常セリフの仮名部分をアンチック体から羅篆形に切り替えて表現される。

 写植時代は写研の「タイポス」、DTPではリメイク版であるタイプバンクの「タイポス オールマイティ」がほとんど。
 コミスタ Ex 以上に付属してくる「ComicStudio-GT」は格安で漫画に最適な太さのタイポス オールマイティを手に入れられるのが非常に魅力的「だった」。

 左の「ゴシック体+タイポス」な組み合わせが一般的だが、本来の混植ルールに則ってモダンな明朝体と組み合わせる漫画も少ないが存在する。

 以前の漫画雑誌では明朝体の横画が細くて掠れる恐れがあったので使われなかったが、同人誌ではデジタル原稿&600dpi以上&モノクロ2値ならまず問題ないと思う。

 コミスタやクリスタにタイポス書体が付属しなくなったため、タイポス系書体を使うためには商業フォントの購入が必要になりました。

 そこで元手を抑えたい環境向けに源ノ角ゴシックをベースに作成したラテン体書体。
 明朝体を合わせる前提な上のタイポスと異なり、最初からゴシック体との混植を前提に角アンチック的としたのでコントラストは低め。

猫なで声(POP文字)

 上記の創英角ゴシック体と同じ創英企画製のポップ文字。

 こちらはニイスの「NIS-POP文字」の模倣フォント。やっぱりMS Officeに付属してくるので同人などでよく使用される。
 HG[P|S]創英角ポップ体の同人誌使用はグレーなのも一緒。

 写植時代に使われていた「ゴナ+ゴカール」の置き換えでよく使われる組み合わせ。

 POP体系ではあるが丸文字の影響を多分に受けているので非常に可愛らしく、男性キャラに使うと微妙かもしれない。
 なお仮名部分に使っているハッピーは制作元タイプラボのWEBページから教育漢字制限版「ハッピールイカ」がダウンロード可能(要メール会員登録)。体験版ではあるが仮名はすべて備えているし、太さも9種類もあるし、商用利用も可なので持っておいて損はない。

モノローグ・ト書き(丸ゴシック体)

 ト書きには丸ゴシック体が使われる場合が比較的多いようである。

 こちら側の公共看板などで使われていそうな太めのクラシカル丸ゴシック体は「第三者(神の声、読者)視点」タイプのト書きに使われることがある。

 非常にフォントの種類が少ないジャンルであり画像で使ったモリサワ丸アンチックとフォントワークスの筑紫A丸ゴシックが代表的。
 フリーフォントだと「いろはマル」が近いかもしれない。

 ナールやスーラなどに代表されるモダン丸ゴシック体は「主人公、キャラ視点」タイプのト書きで使われることが多い。(区別せずにすべてのト書きがこっちの場合も)

 商業誌ではスーラが使わせることが多いが、同人誌ではナールの劣化コピーフォントであるダイナラブ「DF丸ゴシック体」がよく使われている。
 オープンソースフォントだと「源柔ゴシック」「モトヤ マルベリ(MTLmr3m.ttf)」、が近いかもしれない。

なお、週刊少年漫画雑誌では一般的な文字サイズが「3.67mm」(原稿時 4.5mm を縮小印刷)。
同じように小さなサイズは「3.26mm」、大きなサイズは「4.89mm」「5.70mm」が使われるよう。

行送りは“ルビ(ふりがな)なし”で「125% ~ 133%」(行間 25% ~ 33%)、“ルビあり”で「150%」(行間 50%)が一般的か。
ルビ(ふりがな)はセンタリングや均等割り付けで配置する。サイズは基本サイズで親字の 50%、大サイズだと 25% 程度。
(ただしセリフの文字サイズが大きくなるのと比例して行送りは狭く、ルビも小さくするのが一般的)